2021.12.02 営業Tips

売上を伸ばす営業マネジメントの秘訣とは?必要なスキルと注意点

多様性や個性が重視される現代において、各個人が自律しながらも組織として成果を挙げるためには、管理職のマネジメントスキルが重要です。そこで、今回は営業におけるマネジメントの必要性や、具体的に求められるスキルについてご紹介します。

営業マネジメントとは

マネジメントという英単語の意味は「管理、経営」です。特に、ビジネスシーンでは組織の人員管理や運営などの意味でよく使われます。マネジメントという言葉を広めたドラッカーの定義によれば、「組織が成果を出せるようにするための道具、手段、仕組み」とされています。

つまり営業におけるマネジメントとは、営業部が成果を出せるような仕組みを作ること、道具や手段を整備することといえるでしょう。これを具体的に言い換えると、「個々の営業担当者の能力を最大限に発揮させ、売上を伸ばすこと」「自社の利益を最大化するための環境を整備すること」などが当てはまります。

営業マネジメントを必要とする背景

営業マネジメントが求められるようになった背景を考えると、その要因は主に2つ考えられます。組織における機能不全と生産性向上の必要性です。

市場の流れも技術革新も以前に比べて早まったため、企業はそれに応じて早急に、かつ合理的な意思決定を求められるようになりました。しかし、今まで経営者層からのトップダウンで意思決定が行われてきた企業や組織は、中間管理職のマネジメント機能が事実上働かなくなっているところも多いのです。そこで、昨今は社員一人一人の自主性を重んじるマネジメントが注目されています。

さらに少子高齢化に伴う労働人口の減少に対応するため、効率的かつ生産性の高い営業活動に取り組む必要があることも、マネジメントの必要性を高めています。

営業マネジメントの役割

営業マネジメントの果たすべき役割として、以下のようなことが求められます。

組織の成果を最大化する

組織として進むべき方向、ビジョン、達成すべき目標を定め、組織がそれらに向かって正しく行動できるよう導くことが求められます。組織が目標を達成するために、果たすべき役割や達成すべき目標をチームメンバー個人に適切に割り振ることで、成果の最大化を目指します。
マネジメントによって目標や方向性に応じた組織運営を行えば、チームメンバー同士が適切な関係性を構築したり、業務遂行のスピードが上がったりと、最大限の成果を生み出すことにつながるでしょう。

社員一人ひとりのスキルを活かし、モチベーションを保つ

チームメンバー一人ひとりのスキルや能力を最大限発揮させるため、各々が自己実現できる場や、有能性を示せる機会を提供することが重要です。その結果、メンバーのモチベーションを高めたり、主体性を身につけたりすることにもつながるため、チームの成果を最大化できるでしょう。

営業マネジメントの具体的な仕事内容は?

営業マネジメントでは、実際にどんな業務を行うのかを説明します。

目標管理

組織の成果を最大化するには、まずは適切な目標を立てなければなりません。メンバーそれぞれが達成すべき目標を設定し、その達成に向けて管理することで、メンバーの成長、ひいては組織の成果の最大化へとつながります。

目標は明確に設定しましょう。月次、週次、日次など細かく設定するとより効果的です。目標となる数字はメンバーが納得できるものであると同時に、やや努力して達成可能なレベルにしておきましょう。容易に達成できてしまうものも難しすぎて達成できないものも、メンバーのモチベーションを下げ、能力アップにつながらないため、注意が必要です。

明確な目標を立てるとともに、それを実現するためのルール・仕組み・必要な行動なども考えましょう。

行動分析と改善提案

営業活動に関わる行動を記録して、その行動と結果を一定周期で振り返って分析します。案件フェーズやアクション内容をできるだけ細分化して、それぞれ数値で追っていきましょう。

目標が達成できているのであれば成功の要因を探り、達成できていないのであればその原因を分析します。必要に応じて改善方法を示したり、ヒントを提示したりすることでメンバーの成長を促しましょう。

案件進捗の管理

見込み化した案件を受注するまでのプロセスと進捗の管理を行います。営業活動のボトルネックを排除し、見込み(受注確度・受注時期・受注金額)と実際の差異を最小限にすることが必要です。

適切なタイミングでアプローチ・フォローができているか、必要な情報は押さえられているか、適切な提案ができているか、顧客と合意は取れているか、案件がスタックしている理由は何かなど、受注の妨げになり得るポイントをチェックし、適宜アドバイスを行いましょう。

モチベーション管理

マネジメント職が担当者それぞれとコミュニケーションを図り、モチベーションを維持したり高めたりすることも重要です。特に、結果が思うように出ないときはモチベーションが下がりやすいため、目標達成のために叱咤激励するだけでなく、サポートやフォローする姿勢が求められます。

定期的に評価・フィードバックを行うこともマネジメント職の役割です。メンバーのキャリア、ビジョンなどを捉えた人材育成、成長の促しなども行いましょう。

営業マネジメントに必要なスキル・能力とは?

マネジメントをするにあたって、どういったスキルが必要とされるのかについて説明します。

全体を把握し分析する能力

組織の現状を把握・分析し、どのような課題があるか明確にする力です。営業チーム全体を見ながら、立てた目標に沿って行動できているか、行動できていないならどう軌道修正すべきか考えます。人的・時間的コストを数値で定量的に捉えることも重要です。

視野を広く持ち、全体を見渡した上で細かい部分にまで目を向けられる観察力も求められます。マネジメントは経験・感情・勘といった非論理的な根拠に頼らず、客観的な判断と体系的な整理、的確な判断が必要です。

コミュニケーションスキル

マネジメント職は、メンバーとコミュニケーションをとる頻度が高いため、コミュニケーションスキルも重要です。メンバーとの信頼関係は必要不可欠なため、一人ひとりとコミュニケーションを十分にとり、強みや弱みなどの特性を把握した上で、それを活かす戦略を考えましょう。

メンバーをサポートするだけでなく、成長を促し育成する上でも重要な能力です。ただ命令や指示を出すだけでなく、メンバーの自主性や主体性を尊重した上でのコーチング能力も求められます。

決断力

設定した目標を達成するため、組織のミッションをメンバーに共有するための強い意志・リーダーシップ・判断力が必要です。

マネジメント職には、小さなことから大きなことまで決断を迫られる場面も多々あるでしょう。その際、間違いを恐れるあまり必要以上に決断に時間がかかったり、後回しにしたりするのは極力避けるべきです。営業に欠かせないスピード感が損なわれてしまいます。

チームをまとめ、目標に向かって一丸となって進むためには、マネジメント職自身が強い意思やリーダーシップを持って決断することが求められます。

PDCAサイクルを回す力

日常の目標管理・行動管理・案件管理の中で、各メンバーや組織の課題を抽出し、解決するための打ち手を講じていきます。対策を行った上で実際に改善がされたのか振り返りを行い、繰り返し実践することで改善を積み重ねていくことが重要です。

メンバーや組織全体のPDCAサイクルをできるだけ高速で回すことで、目標達成ができる組織を目指しましょう。

正当に評価するスキル

マネジメント職の要とも言えるスキルです。メンバーを客観的に正しく評価し、効果的なフィードバックを行いましょう。成長を促す、適性を見極めて能力を発揮しやすい業務やポジションに振り分けるなど、公平性も必要です。

営業マネジメントの注意点

マネジメントをするにあたって、陥りがちな落とし穴や気を付けるべき点を説明します。

メンバー全員に目を配る

モチベーション維持のためにも、進捗管理のためにも、どんなに人数が多くてもしっかりメンバー全員に目を配りましょう。メンバー一人ひとりの行動を評価し、小さな変化も見逃さないようにします。

マネジメント職自身の管理キャパシティを理解しておくことも重要です。優秀なマネジメント職ほど、仕事を振るのが得意です。モチベーションやパフォーマンス向上のためにも、仕事はある程度メンバーに振りましょう。もちろん、仕事を任せる=責任を放棄する、という事ではないため進捗の確認などのフォローも必須です。

インセンティブは与え方に注意

営業成果に応じてインセンティブを与える企業は、与え方に注意が必要です。金銭的な面からのインセンティブにこだわりすぎると、成果が出なかった際のモチベーション維持が困難になったり、メンバーが過度なプレッシャーを負ってしまう傾向があります。

モチベーションを継続的に維持するために、「目標を達成した」「責任ある仕事を任せてもらえた」などの方がインセンティブとして効果的です。

場当たり的な指導にならないようにする

繁忙期など、業務に忙殺されていると場当たり的な指導をしがちです。結果に結びつくまでにはそれぞれのプロセスがあることを考慮し、メンバーそれぞれの状況を分析したうえで指導を行いましょう。

逆に、状況分析を怠ると課題の発見と分析、そして解決に結びつかないばかりか、いたずらにモチベーションをダウンさせてしまうことにつながりかねません。

まとめ

営業マネジメントとは、営業部が成果を出せるような仕組みを作ることや、道具や手段を整備することです。個々の営業メンバーのスキルや持ち味を十分に引き出し、適切に活かしつつ、モチベーションを維持・向上しやすいような環境を整えることが重要です。そのためには、今回ご紹介したようなスキルを意識し磨くとともに、注意点に気をつけてマネジメントしていきましょう。