今や営業活動に欠かせないと言われるオンライン商談。従来の訪問型営業とは違い、移動せずに商談を実施できるため、時間効率の向上や、紙の資料を用意せずとも視覚的に情報を訴求できるなど、多くのメリットがあります。
そこで今回はオンライン商談ツールの特徴と、活用するメリットをご紹介していきます。
もくじ
オンライン商談ツールとは? Web会議ツールとの違い
オンライン商談とは、商談相手と直接対面することなく、「オンライン商談ツール」を活用して営業を進める商談方法です。「オンライン商談」は「Web会議」と混同されることが多いですが、いくつか異なる点があります。
まず、オンライン商談ツールは専用のアプリやアカウントなどが必要なく、ブラウザから簡単に接続できます。準備が不要なため、電話の延長線でそのまますぐに商談ができるという即効性に優れています。事前に日程調整の上実施する「商談」より敷居が低く、電話の補助的に資料を共有するだけというような「ライトな商談」に活用できます。
オンライン商談ツールは電話と組み合わせて利用することを想定しており、映像と音声を分けることで通信の安定性を確保しています。Web会議は映像も音声も同じ通信となるため、インターネット回線の状況によっては音声が途切れてしまったり、フリーズして切れてしまったりというようなこともしばしば起こります。社内会議であればまだしも、新規の見込顧客との打ち合わせでそのようなことが起きるのは致命的なため、その点オンライン商談システムの方が安定性が高く、安心して利用できると言えるでしょう。
その他、Web会議ツールにはない商談に便利な機能が多数搭載されているというのもオンライン商談ツールの特徴となっています。
近年、日本でもインサイドセールスの需要も増えており、電話営業やオンライン上での商談はますます重要度が高まっていくと考えられます。従来の訪問営業を単にWeb会議によって置き換えるのではなく、商談に特化したさまざまな機能を持つオンライン商談ツールを活用することで、営業の効率化や成果につなげるオンライン営業を実践できるのではないでしょうか。
オンライン商談のメリット
オンライン商談を活用することで、営業部門は直接的に多くのメリットを得ることができます。しかし、間接部門にもメリットがあることはあまり知られていません。
実は経費や労務管理コストの削減など多くのメリットがあり、オンライン商談の活用によって会社全体で生産性の向上を図ることができるのです。
ここでは、それぞれ部署ごとのメリットを見ていきましょう。
営業部門のメリット
営業部門には、以下のようなメリットがあります。
●より多くの商談が可能になる
例えば、1日2件の商談にかかる移動時間が各1時間かかるとすれば、1ヵ月間で1日2時間×20日間/月=40時間、年間では480時間もかけていることになります。これは1日の労働時間を8時間として計算すると、実に約3ヵ月分に相当します。オンライン商談の活用によって移動時間を削減できれば、計算上25%も効率を上げられることになるのです。
●より多くの顧客にアプローチが可能である
オンライン商談は移動を必要としないため、移動時間はもちろん、活動地域にも縛られることがなくなります。移動距離に縛られずに、遠方の顧客であっても頻繁に商談を行うことが可能で、ビジネス拡大の大きな機会を得られます。
●セールストークやカンニングペーパーを確認できる
オンライン商談ツールでは、商談に効果的なさまざまな機能が搭載されています。例えば、顧客に対して資料を共有しながらも、自画面ではトップセールスのトークスクリプトを表示したり、FAQやノウハウなどのカンニングペーパーを表示したりできます。
これは常時フォローアップを受けているのと同等ですから、営業担当は安心してかつ自信を持って商談を進めることができるようになります。そのため商談の精度はあがり、営業全体のスキルの平準化が可能になります。
●電話商談時にすぐに資料を共有できる
Web会議で商談を行う場合、クライアント側でもアプリケーションをダウンロードしたりアカウントを作成したりしてもらう必要があります。また営業側でも、Web上のミーティングルームを取得して事前に顧客に伝えることで、はじめて商談が可能になります。この方法では事前に準備が必要なため、日程調整をして訪問するのとあまり変わりません。
オンライン商談ではブラウザベースで商談を行うためこのような事前作業は必要なく、その場ですぐに接続できます。特にインサイドセールスでは電話を主体に活動を行うため、事前に日程調整をせずとも短時間でライトな商談を実施できる「オンライン商談ツール」は、インサイドセールスにとって最適な武器と言えるでしょう。
●顧客のLTVを最大化
「オンライン商談ツール」は、電話とブラウザを活用した商談になるため、事前準備を必要とせず手軽に商談が可能です。そのため、顧客のLTV最大化に貢献できます。手軽な商談が可能なため、新規顧客開拓はもちろんのこと、営業活動におけるカスタマーサクセスやアフターフォローまで、継続的な顧客コミュニケーションに活用できるのです。
対面商談はもとより、商談のたびに事前準備が必要なWeb会議では、多くの商談を手軽にこなすことはできません。オンライン上での打合せや商談のためにさまざまなツールが存在し活用されていますが、顧客のLTV最大化を図るためには、商談に特化したオンライン商談が最も適していると言えるでしょう。
間接部門のメリット
間接部門には、以下のようなメリットがあります。
●交通費、資料印刷費などの経費が削減される
オンライン商談では、商談に関わる移動が必要なく、当然交通費もかかりません。また、資料は画面上で共有されるため、事前の印刷も必要なくなります。
例えば、営業担当1人の1日の経費が2,000円とすれば、1ヵ月間で1日2,000円×20日間/月=40,000円、年間で480,000円が削減できる計算です。10人分ともなると480万円になり、1人分の年間人件費に相当するコストが削減できるのです。
●直行直帰などの申請工数が削減される
移動が無くなれば、それに伴う書類申請も必要なくなります。交通費の清算だけでも1人1日2件×20日=40件/月の書類作成時間と、処理時間の削減ができることになります。
例えば、1件あたり2分としても80分/月、年間では960分の削減となり、さらに直行直帰などの申請が削減できることになれば、大幅な工数削減につながります。
●残業が減るため労務管理が楽になる
移動削減による勤務時間の短縮、またそれに伴う人件費の削減も小さいものではありません。オンライン商談を導入することで移動時間がなくなることで、残業時間の削減にもつながり、生産性の向上を図ることができます。
オンライン商談のデメリット
メリットが多いオンライン商談ですが、同時に気を付けなければいけない以下のようなデメリットも存在します。
インターネット環境によって商談の質が変わる
オンライン会議全般はインターネット回線を利用するため、音声が途切れたり映像がフリーズしたりなど、環境によっては思うように利用できない場面も出てきます。しかし通信環境が良くない場合でも、すべての通信をインターネット回線で利用するWeb会議と比べ、オンライン商談は電話での商談継続が可能なことから、より安定性の高いシステムと言えるでしょう。
オンライン商談の方法やオフィス環境を整備する必要がある
オンライン商談ではPC接続されたカメラが必要になりますが、営業側はどうしてもディスプレイ上の資料を見ることが多くなるため、目線がずれてしまい顧客が違和感を持つ場合や、ノートPCの場合、上からのぞく形になってしまい印象が良くないと言った場合があります。また、背景に余計なものが映らないようにする、近くに音が鳴るものを置かないなど、オフィス環境を整備しておく必要があります。
関係性を構築する難易度が上がる
これはオンライン上のすべての商談に関わるものですが、対面商談と比較するとどうしても雑談などが少なくなりがちです。そのため、顧客との関係性構築が従来と比べると困難になります。これを解消するために「自己紹介などアイスブレイクを設ける」「質問を小まめに挟み相互にコミュニケーションを取る」「接触頻度を上げる」などを意識的に行うようにしましょう。
このように、オンライン商談を行うには環境的なデメリットを把握し、改善も踏まえながら実施する必要があります。
あると便利なオンライン商談ツールの機能
オンライン商談のメリットを十分に享受するには、ただ商談を行うだけでなく、搭載されている機能を活用することがポイントです。そこで、オンライン商談ツールを選ぶ際にも参考になる、便利な機能をご紹介します。
資料共有機能
PCのブラウザ上で、クライアントに資料を共有する機能です。一般的な画面共有とは違い、ページごとにクライアントからは見えないトークスクリプトを埋め込むことができます。例えばトップセールスのセールストークを入れておくことで、営業担当の説明のレベルを平準化することができます。資料の拡大縮小や、強調したい部分にマーカーを引く機能などもあると便利です。
アジェンダ・議事録機能
電話でのやり取りだけでは双方に認識の相違があったり、後から「言った・言わない」というような問題が発生したりすることも起こりがちです。議事録機能があれば、その場でヒアリングした内容を文字にして確認することができるので認識の齟齬が生まれず、商談終了後には商談に紐付けて保存されるので後から確認することも可能です。また事前にアジェンダを登録しておく機能があれば、例えば毎回ヒアリングする項目をテンプレートにしておくことで聞き逃しなく打ち合わせをすることが可能です。
カンペ機能
営業側にのみ、FAQやヒアリング項目、ノウハウなどのテキストをカンニングペーパーとして表示させる機能があれば、商談の精度向上に効果的でしょう。
プロフィール機能
初めての顔合わせがオンラインの場合、名刺交換ができないため、代わりに自己紹介をするためのプロフィール機能があると便利です。出身や趣味などについて、写真と合わせてプロフィールを設定しておくことで、商談の際のアイスブレイクとして活用できます。
録画機能
商談を映像として残す録画機能があれば、マネージャーが営業に同行しなくても各営業の商談内容を確認することが可能です。録画内容を振り返ることで、個々のスキルアップやチームマネジメントに活用することができます。
まとめ
オンライン商談には多くのメリットが存在します。「オンライン商談ツール」を活用することで、営業部門の効率化はもとより、会社全体の効率化を図ることが可能なのです。
各機能を比較しながら、自社に最適な「オンライン商談ツール」を選び、オンライン商談のメリットを自社の営業にいかしてみてはいかがでしょうか。