2023.07.21 営業Tips

質問力を鍛えるトレーニングとは?質問力を鍛えるメリットと質問時のポイント

質問力とは、相手に不明な点や疑問を問いかけ、得た答え通じて理解を深めるスキルのことで、営業や商談や会議などビジネスのあらゆる場面で役立ちます。今回は、質問力を鍛えるトレーニング法のほか、質問をする際のポイントや注意点などを解説します。

質問力とは

質問力とは、相手に不明な点や疑問を問いかけ、得た答え通じて理解を深めるスキルのことです。一般的に質問力は、単に物事の不明点や疑問点の答えを導き出すためのスキルと定義されることが多いでしょう。

しかし、質のいい質問は質問者の不明点や疑問点を解決するだけではなく、結果的に質問をした側もされた側も理解が深まったり、視野が広がったりすることも少なくありません。

営業活動での商談や社内会議など、質問力はビジネスのあらゆる場面で役立ちます。商談では適切な提案をするために、相手の状況や意図を正しく理解することが求められるためです。また会議で売上向上策や事業拡大のアイディアを出し合う際は、さまざまな視点から解決策を考える必要があることも質問力が役立つ理由です。

質問の種類

質問は大きく以下の4種類に分けられます。

・オープンクエスチョン
・クローズドクエスチョン
・未来質問と過去質問
・肯定質問と否定質問

それぞれ解説していきます。

オープンクエスチョン

オープンクエスチョンは、回答の範囲を限定せず自由に答えてもらうための質問です。回答者独自の見解を聞くのに適しており、例えば「こちらの商品をご覧になって、どのような感想をお持ちですか?」といった質問が該当します。

回答を掘り下げていくことで、より多くの譲歩を得られるのがオープンクエスチョンです。
ただし、回答の範囲が広い分相手の意見や考えを引き出せる反面、相手が考える負担が大きく、クローズドクエスチョンよりも回答まで時間が要するといったデメリットがあります。

そのため、5W1H(なぜ・誰が・何を・いつ・どのように・どうやって)を使い、回答の範囲を絞って問いかけるととよいでしょう。また、初対面の相手や会話の冒頭では向かない場合があるので使うシーンには注意が必要です。

クローズドクエスチョン

クローズドクエスチョンは、「はい」と「いいえ」の二択で回答できる質問や、もしくはこちらから提示した選択肢から回答をもらう質問です。「プロジェクトを進める上で、A案とB案、どちらを選択しますか?」といった質問がクローズドクエスチョンに当てはまります。

クローズドクエスチョンは、相手に決断を仰ぐときや、スピーディーに回答を得たいときに適しています。そのため、議論や状況を収束させる際に使うと効果的です。

未来質問と過去質問

未来質問は「これからどうするべきか?」「今後も継続したほうがよいだろうか?」など、これから先の展望や、これから起こるであろうことを問う質問を指します。一方で「どうして成功したとおもうか?」といったような相手が経験したことや、今考えていることなどを問いかけるのが過去質問です。

現在や過去のことを考える機会はあっても、未来のことはあまり考えないという方も珍しくありません。そのため未来質問をする際は、「わからない」あるいは「考え方ことがない」という回答が返ってくる場合があることを考慮しましょう。

過去質問は、原因の追及になりやすいので失敗したことに対して、執拗に「なぜこうなったのか?」と質問するのは避けたほうがよいでしょう。

肯定質問と否定質問

肯定質問は、肯定的な言葉を使って「どうすれば状況が好転すると思う?」「いつから始めますか?」といったことを聞く、前向きな質問です。反対に、否定質問は「なぜできないと思う?」「自分の欠点はなんですか?」などのネガティブな面にフォーカスした質問のことです。

肯定質問は、前向きな意思を引き出すのに効果を発揮するため、一般的に、教育現場や人材育成の場面で活用されることが多いでしょう。否定質問は原因を探る手法として役立つものの、モチベーションの低下を招くリスクがありますが、肯定質問と合わせて質問することで行動変容が望めます。

質問力を鍛えるメリット

質問力を鍛えるメリットとしては、主に以下の4つが挙げられます。

● 会話が弾みやすくなる
● より多くの情報収集ができる
● 信頼されやすくなる
● 課題解決に導ける

順番に解説していきましょう。

会話が弾みやすくなる

質問力が高いと会話が弾みやすくなります。的を射た質問ができると、相手の気持ちや状況などをうまく引き出し会話が続くからです。優れた質問であれば、それだけで会話が弾み盛り上がるため、質問力はプライベートはもちろん、ビジネスの場でも重要なスキルといえます。

人と会話するのを苦手とする方はたいてい、「初対面の相手と何を話せばよいのかわからない」「目的もなく続ける雑談が苦痛」と考えているものです。しかし質問力を鍛えると自然と会話が弾むため、ビジネスを円滑に進めやすくなります。

より多くの情報収集ができる

多くの情報収集をするためには、質問力を鍛えることが非常に重要です。相手の考えやニーズ、悩みなどは聞いてみなければわかりません。

相手が答えやすい質問を投げかけられれば、悩みやニーズを引き出し、解決策の提示につなげられます。また、あらかじめ価値観を確認するための質問をすることで、相手を怒らせたり不快にしたりするリスクも軽減できます。

高い質問力によって相手との関係性を良好にできると、通常は手に入れにくい情報を得られる可能性が高まるでしょう。

信頼されやすくなる

質問力を鍛えれば、相手から信頼されやすくなります。質問をするのは相手に関心があり、相
手のことを正しく理解しようとするからです。

営業や商談において、顧客との認識のズレがないかしっかりと確認する質問を投げかけながら会話を進めると、顧客から「この人は誠実だ」と信頼されやすくなるでしょう。

社内においても、上司が部下に対して命令口調で指示を出す代わりに質問をすることで、部下は自分で考え、主体的に動ける人物に成長します。一方的な命令を出す上司よりも部下から信頼されやすくなるのはもちろん、自立した部下を育てられる上司として、周囲からの信頼も得られるはずです。

課題解決に導ける

質問力を鍛えることで課題解決に導きやすくなることも、大きなメリットです。顧客が自分の
抱える悩みやそれを解決方法を自覚している場合は、自身で情報収集して商品を購入するでしょう。

質問力を鍛えて高めると、相手の潜在ニーズを顕在化させることが可能です。例えば、仕事中にコーヒーを購入することが習慣化している人がいるとします。この人に「なぜ?」という質問を繰り返した結果、コーヒーが飲みたいから買っているのではなく、実は眠気をなくしたいと思っていることがわかったとします。この場合、この人物の課題解決の方法として、眠気覚ましにガムを噛んだりや休憩室で仮眠をとるということが提案できます。

このように相手の潜在ニーズを顕在化させれば、それを満たす適切な提案ができます。

良い質問と悪い質問の違い

質問は、良い質問と悪い質問に分けられます。ここで言う良い質問とは相手にフォーカスし、相手の意見や体験など、聞かなければわからない問いを指します。そのほか質問を投げかけることで、質問された本人も気づいていなかったことを引き出すような質問も、良い質問に該当します。

一方で検索すれば答えを得られ、事前に情報収集することが容易な内容については、シーンにもよるものの、わざわざ相手に質問することが適切でない悪い質問と定義できます。また、相手を執拗に追い込んだり、質問者が望む答えに無理に誘導するような質問も悪い質問と言えるでしょう。

良い質問

相手の価値観に迫る質問や、相手の目標を確認することで本質的なニーズを把握できる質問は良い質問といえます。また、案件を今後も進めていくか否かを判断できる質問も、ビジネスでは有意義といえるでしょう。

悪い質問

ビジネスの大事な場面で、調べてくることがマナーとされているような質問をするのは避けるのが賢明です。また、相手を追い詰める質問や誘導尋問のような質問も、極力行わないようにしましょう。

質問力を鍛える4つのトレーニング法

質問力を鍛えるのに有効なトレーニング法は、以下の4つです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

・質問力が高い人の真似をする
・質問リストを作り実践していく
・自分がされた質問を振り返ってみる
・何事にも疑問を持つ

質問力が高い人の真似をする

最短で質問力を鍛えられる方法は、その力が優れている人の真似をすることです。日頃から職場のミーティングで鋭く適切な質問をする同僚や、新たな視点が生まれるきっかけを作る質問をする上司など、周りを見渡すとお手本となるような質問に数多く触れているはずです。
ただし、質問の意図を理解せずに表面的な真似をしても意味がありません。なぜこのような質問をしているのか、その意図を十分に理解した上で真似することが大切です。

質問リストを作り実践していく

質問力が高い人の真似をしてお手本となるような質問に意識を向けるようになったら、そこで学んだ質問はリスト化して活用していきましょう。そのリストを参考に実際に質問をするという実践を重ねていくことで、うまくいくこともあればそうでないケースも出てきます。後者の場合どう対応していけばいいかを考えることで、さらに自分の中の引き出しが増えていくでしょう。

はじめはうまくいかなくても、実践を繰り返すことで経験値が上がり、効果的な質問の投げかけ方やタイミングなどがわかってきます。

自分が受けた質問を振り返ってみる

自分が受けた質問を振り返るのも、質問力を鍛えるのに効果的です。過去に受けた質問を思い出してみて、答えやすかった質問と答えにくかった質問の違いを考えてみると、自分が質問をする際にどのような質問をすれば相手が答えやすいかがわかるでしょう。

また、顕在化していなかったニーズが質問をきっかけに引き出せた経験がある場合は、そのときにどのような質問をしたか思い出してみることをおすすめします。

何事にも疑問を持つ

何事にも疑問を持つことも質問力を上げるために有効です。

私たちは日頃から多くの知らないことに囲まれており、疑問やわからないことがあればインターネットで手軽に調べられる環境です。しかし世の中に無関心でいると、行動のきっかけである疑問を抱くこともありません。

物事に対して「本当にそうなのか?」「他の方法はないか?」「なぜそうなるのか?」と疑問を持つことで、さまざまな角度から物事をみる視点が養われ、質問する力が向上します。

質問をする際のコツ

質問をする際のコツは、主に次の3点です。

● 答えやすい質問をする
● 話を聞きながら相槌をうつ
● メモをとる

上記のコツをおさえておけば、質問をすることが苦手な人でもスムーズに質問ができるでしょう。順番に解説していきます。

答えやすい質問をする

質問をする際は、相手が答えやすいような問いかけを意識しましょう。質問の意図がわかりにくいものや専門用語の多いものは、答えにくいのはもちろん、相手を戸惑わせてしまいます。

また、初対面の人やまだ関係性の浅い人に問いかける場合、いきなり踏み込んだ質問は避けたほうがよいでしょう。

オープンな人であれば問題なく質問に答えてくれる可能性がありますが、基本的には相手との距離感を正しく認識して、適切な質問をする必要があります。

話を聞きながら相槌をうつ

質問をしながら相槌をうつのも、おすすめの方法です。話を聞いている相手が相槌をうっていると、話の内容に共感してくれていると感じ、どんどん話をしたくなります。

質問をするときは、ついその内容にばかり気を取られがちですが、話しやすい雰囲気作りや、相手がどんどん答えたくなるようなモチベーション管理も大切です。

メモをとる

質問をして答えてもらえるときは、メモを取るとよいでしょう。相手に関心を持っているという印象を与えられ、好感を抱いてもらえる可能性が高まります。自分が話しているときに聞き手にメモを取られると、真剣に回答しなければという意識が働いたり、相手に好感を抱いたりする傾向があり、心理学ではこれを「インタビュー効果」といいます。

手元にメモがない場合は、相手の了承を得た上でスマホにメモを取るのも選択肢の1つです。従来の紙のメモのほうが印象は良いですが、話を記録するという行動自体は歓迎されるでしょう。

質問をする際の注意点

質問をする際の注意点は、次の4点です。

● 話を遮らない
● 相手を否定しない
● 質問攻めにしない
● デリケートな質問は避ける

それぞれ確認していきましょう。

話を遮らない

話を遮らないのはコミュニケーションの基本であり、質問をする際にも心得ておきたいポイントです。ほとんどの人は話を遮られると、話す気が失われるものです。まして質問をしておいて、話を遮るのは論外といえるでしょう。

どんどん話が広がってしまい収集がつかなくなってしまう人に対しては、今までの話を要約したほうがよいこともあります。しかし、一生懸命話をしているところを遮られると、徐々に答える気がなくなってしまうので、自分のペースで進めようとするのは避け、相手のペースに合わせることを心がけましょう。

相手を否定しない

質問への回答を否定されるのは、かなり不快に感じます。それであれば、そもそも聞かないで欲しいと思われても仕方ありません。

回答に対してのリアクションには注意を払い、相手を不快にさせないことを認識しましょう。

質問攻めにしない

質問攻めにしないことも、質問をする際の注意点の1つです。聞きたいことが多いとつい質問攻めにしてしまうこともありますが、一方的に質問ばかりされると相手が疲れてしまいます。そして、そのうち口を閉ざしてしまう可能性があります。

そのため、質問したいことが多くても矢継ぎ早に質問するのではなく、コミュニケーションを取りながら進めましょう。

質問攻めにしないためには、相手が話しやすい雰囲気を作り、回答に詰まるときも待つことが必要でしょう。このように相手が答えやすいように配慮することも求められます。

デリケートな質問は避ける

商談でのヒアリングの合間に、アイスブレイク的な意味合いで個人的な質問をすることもあるでしょう。しかしここで、宗教や政治、子どもの有無や年齢に関わることなどのデリケートな質問をするのは避けましょう。相手が不快に思い、肝心の商談にも悪影響を及ぼす場合もあるためです。

相手がオープンな性格に思える場合でも、デリケートな質問は避けるのが賢明でしょう。

質問力を鍛えて営業を強化しよう!

質問力とは、物事の不明点や疑問点を通じて理解を深めるスキルのことで、営業や商談や会議など、ビジネスのあらゆる場面で役立ちます。

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