2022.01.18 インサイドセールス

【インサイドセールスのKPI】設定と達成するためのポイントを解説

営業の生産性向上や業務効率化の必要性、非対面での営業ニーズの高まりなどによって注目が高まっているインサイドセールス。今回は、インサイドセールスの役割、インサイドセールスにおけるKPIの設定や達成のために重要なポイントについて解説します。

インサイドセールスとは

インサイドセールスとは、電話やメールなどのツールを活用して、訪問せずに顧客へアプローチする役割のことです。マーケティング活動によって獲得したリードにアプローチし、リードの購買意欲が十分に高まったタイミングで営業(フィールドセールス)へ引き渡します。

リードを営業へ引き渡すまでに、インサイドセールスはリードナーチャリングを行います。具体的にはメールや電話などでコミュニケーションをとり、リードにとって有益な情報を提供することで信頼関係を構築し、継続したコンタクトによって顧客の温度感を高めていきます。

マーケティングと営業の間にインサイドセールスが存在することで、獲得したリードの中から受注率が高いものを絞り込むことができます。それにより、営業効率を高め、結果的に成約率や、生産性の向上につなげることが可能です。

インサイドセールスの主な役割は先述の通りですが、企業によってマーケティング・営業の業務範囲が異なるため、リードナーチャリングだけでなく「クロスセル・アップセル」「リサイクル」などの役割を担うこともあります。

・クロスセル・アップセル…既存顧客へのフォローアップにより、顧客の抱える新たな課題やニーズを知り、案件拡大のチャンスを探るとともにビジネスチャンスを創出する
・リサイクル…営業活動ののち、受注に至らなかったリードに対してフォローを行い、新たな案件創出を目指す

リードナーチャリングについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

KPIの設定方法

インサイドセールスが効果的に機能しているかどうか測るためには、設定したKPIの達成状況を定期的にチェックすることが有効です。インサイドセールスにおける適切なKPIを設定するためには、以下の4つのステップに沿って進めていくといいでしょう。

①KPI設計の前に覚えておきたい単語と意味

インサイドセールスの持つ役割は企業によって異なるため、まずはインサイドセールスの目的を明確にしたあと、果たすべき役割と何をゴールとするのかを決めましょう。

インサイドセールスの役割の種類
・SDR(Sales Development Representative)…主に問い合わせや資料・ホワイトペーパーDLなどで獲得したリードとの商談機会をつくる
・BDR(Business Development Representative)…(主にBtoBビジネスで)ターゲット企業を特定し、手紙・電話・メールなどで直接コンタクトをとり、商談機会をつくる
・オンラインセールス:オンライン商談を進め、契約締結までを行う

SDRはインバウンド型、反響型のセールスに分類され、中小企業をターゲットとした顧客獲得に向いています。対してBDRはアウトバウンド型、新規開拓型のセールスに分類され、大手企業や中堅企業をターゲットとした顧客獲得に適した手法です。

自社におけるインサイドセールスの目的や役割が決まったら、それに応じて何をゴールとするのかを決めます。KPIはあくまでKGIを達成するためのプロセスを細分化した指標なので、適切なKGIを設定するというのはKPI設計の大前提です。

KGIとKPI
・KGI(Key Goal Indicators)…重要目標達成指標。ビジネスゴールを定量的に示した指標
・KPI(Key Performance Indicators)…重要業績評価指標。KGIを達成するまで、各プロセスの達成度をはかる

例えばSDRのインサイドセールスで「売り上げの最大化」を目的とする場合、最終的な売り上げ目標(KGI)から逆算してKPIを設計していきます。売り上げ目標を達成するためにはどのくらいの受注が必要か、その受注数のために必要な商談数やリード数はどのくらいか、と計算していくことで目標とすべき数値が見えてきます。

KPIを設定するためには、KGIへの道のりのうち、まずはどのプロセスを重視するか決めなくてはなりません。KPIをクリアした先でKGIを達成できるように設定しましょう。

②KPIに関わる指標を整理

KPIの大まかな概要が決まったら、それに関わる指標を整理します。

リード数…問い合わせや資料請求など、獲得した見込み顧客数
架電数…顧客へのアプローチとして電話をかけた数
キーマンコンタクト数…商品・サービスの購入・導入に決定権を持つ人にコンタクトを取れた数
商談化数…商談まで進めることができた案件数
クロージング数…クロージングのフェーズまで進んだ案件数
受注件数…実際に受注に至った案件数
など

指標は必ず定量的に評価できるものにしましょう。客観的に数値化できない指標を設定してはいけません。

③どこにKPIを置くか決める

目的と指標を整理したら、どこにKPIを置くか決めます。

・目的が見込み顧客育成の場合…架電数・キーマンコンタクト数・商談化数など
・目的が契約数増加の場合…商談化数・クロージング数・受注件数など

いずれの場合も、直接的にKPIを達成したかどうかだけでなく、KPI達成に関わる数値まですべて指標として追うことが重要です。例えば、受注件数が少ない場合、そもそも商談化数が少ないのか、商談数は足りているが受注率が悪いのか。受注率が悪い場合はキーマンコンタクト数を上げる必要がある。など、関連する数値をすべて把握しておくことで、KPIの達成ができない場合に改善すべきポイントが見えてくるでしょう。

④「SMART」を意識して設定する

SMARTとは、以下それぞれの頭文字をとった略語であり、それぞれの要素を満たすことで意味のあるKPIを設定することができます。

Specific(明確性)…目標は明確かつ具体的にすること。社内の誰が見てもわかりやすく、理解・解釈にズレが生じないよう設定する。
Measurable(計量性)…測定結果を数値化しやすいものにすること。KPIは主観に左右されない定量的に測定可能な指標ではかる。
Achievable(達成可能性)…現実的に達成可能な目標にすること。あまりにも高すぎる目標は、モチベーションの維持ができない。
Relevant(関連性)…KGIに直結していること。ゴールに対して直接的に関連のある指標を使用する。
Time-bound(適時性)…達成期限があること。期限がないと緊張感を持って行動しづらいだけでなく、定量的な評価もしにくい。

KPI達成のために重要なポイント

最後に、KPI達成のために押さえておきたいポイントを3つ紹介します。

KPIを意識して日々の数値を把握する

日々、KPIを意識して実際の数値をしっかりと把握・管理することが重要です。まずはクオーターで達成すべき目標を設定した後、1ヶ月先、1週間先、1日ごとと期間を細かくしていき、それに応じて小さな目標を立てましょう。
1日の終わりや週の終わり、月末などは必ず振り返りを行い、問題点があれば改善案を出し、なるべく早く実行していきます。

ツールを活用する

ツールを活用すると定量的な測定が行いやすくなります。特に、インサイドセールスではマーケティングオートメーション(MA)や顧客情報管理ツール(CRM)、Web会議システムなどが欠かせません。

マーケティング・営業部門との連携も重要なので、CRMはもちろん、SFAやMAで顧客情報や営業活動の内容まで管理・共有できるといいでしょう。ツールの選定時は、自社の営業活動のスタイルに合ったものを選びましょう。

フェーズに応じたKPIの見直し

インサイドセールス組織がある程度しっかり回ってきたり、事業が着実に伸びてくるフェーズでは、「商談化できているが成約につながらない」「インサイドセールス担当者自身のスキルが上がっているのかわからない」といった問題が起こりがちです。
その場合、従来のKPIに固執せず柔軟にKPIを見直し、変更していくことが重要です。

また、先述のような問題がない場合でも、KGI達成のためにKPIが適切に機能しているかどうか定期的に見直すことが重要でしょう。

まとめ

インサイドセールスが効果的に機能しているかどうか把握するには、日々の活動をKPIの達成状況によって可視化することが有効です。インサイドセールスのKPIを設定するには、まず役割とゴールをはっきりさせ、最終的に達成すべき目標(KGI)から逆算します。
KPIの指標には、SMARTを意識し適切かつ定量的に測定できる数値を設定しましょう。定期的な測定と振り返り、見直しを行うことで、より効率的なKPI・KGIの達成が見えてくることでしょう。