2023.06.02 営業Tips

営業に必要なスキルとは?一覧とスキルアップの方法を紹介

営業に必要なスキルは数多く存在します。人を相手にする仕事であり、業務内容が多岐にわたるからです。顧客の課題解決から製品の受発注まで、営業活動の範囲は広く、様々な能力が問われます。必要とされるスキルの一覧とスキルアップの方法を紹介しましょう。

営業担当者の業務内容

営業担当者の主な業務は自社の製品やサービスを販売することですが、そのために必要な業務内容は多岐にわたります。営業のおもな業務内容をまとめたものが以下です。

・ 顧客のニーズの把握
・ 自社製品やサービスの理解
・ 見積作成と受発注作業
・ 請求や入金など、支払の確認
・ 提案やプレゼンテーション
・ 売上予測の迅速な把握
・ 在庫の確保
・ 関連する他部署との調整
・ 納品の立ち合い・確認・サービスの設置など
・ アフターフォローなど、顧客への継続的なケア

自社商品の把握、顧客の課題の解決、相談への対応、契約、アフターケアなど商品の理解から顧客とのやり取りで生じるすべての業務までが、営業の仕事と位置づけられるでしょう。

営業活動に必要な12のスキル一覧

営業活動のフィールドは広範囲にわたっているため、求められるスキルも多種多様です。おもなスキルは以下のように12個にまとめられます。それぞれくわしく解説します。

1. コミュニケーション能⼒
2. 交渉⼒
3. ヒアリング⼒
4. 臨機応変な対応⼒
5. 課題発見⼒
6. 行動⼒
7. ストレス耐性能⼒
8. 自己管理能力
9. 論理的思考⼒
10. マーケティング能⼒
11. クロージング能⼒
12. 人脈構築⼒

1.コミュニケーション能⼒

営業活動において、コミュニケーション能力はきわめて重要な役割を果たします。コミュニケーション能力とは、顧客とのやり取りを通じて顧客のニーズを的確に読み取り、こちらの意図を正確に伝えることでもあります。

齟齬のない意思疎通を図るためには不可欠な能力であり、コミュニケーションがしっかり取れていれば商談の結果も向上します。

また、コミュニケーション能力は社外のみならず、社内でも必要な能力です。チームへの進捗状況の報告、関連部署との調整など社内で円滑なコミュニケーションを取れなければ、営業活動は成立しないからです。

2.交渉⼒

交渉力は営業に不可欠の能力です。営業活動においては、顧客の課題解決のために自社の商品やサービスを提案し、なおかつ自社に不利にならない条件で商談を成立させることが求められます。顧客の要望を満たしながら、自社の利益を確保するためには交渉力が欠かせません。

営業活動を行う上で、価格・納期・仕様のカスタマイズなど、様々な調整を必要とする場合があります。相手の要求にどこまで応えられるのか、線引きの基準を明確に持つことも必要とされるでしょう。また、社内で上司や他部署との交渉力が必要となる場面もあります。

3.ヒアリング⼒

営業担当者にヒアリング力が求められるのは、ヒアリングで顧客から必要な情報を聞き出さなければならないからです。一般的に「優秀な営業担当者は話し上手」という印象があるかもしれませんが、実は「聞き上手」であることも重要なのです。

「聞き上手」とは、相手の言葉に真摯に耳を傾ける姿勢と技術を持った人を指します。影響活動にあてはめると、顧客に寄り添い、悩みや課題をしっかり聞いて理解し、相手の立場に立って考えられる人です。「聞き上手」である営業担当者を前にすると、顧客は心を開いて率直に話してくれることが期待できます。

営業活動に必要とされるヒアリング力を発揮する場面で、特に聞き出すべき項目を以下の6つにまとめました。率直に聞きにくい項目に関しては、自然な会話の流れの中で確認するのが望ましいでしょう。

・ 抱えている課題や問題。
・ 予算の有無。予算がある場合には目安となる金額。
・ 決定権の有無。顧客に決定権がない場合には、誰に決定権があるかの確認。
・ 企業として必要としている商品であるかどうかの確認。
・ 購入時期と導入時期の目安。
・ 競合他社の有無。

4.臨機応変な対応⼒

臨機応変な対応力とは想定外の事態に対応する能力です。営業活動は事前に立てたプランどおりにいくとは限りません。想定外の事態が起こり納期が遅れそうになった場合でも、対応力を発揮して影響を最小限に抑えたならば、顧客の信頼を維持できるでしょう。限られた条件や時間のなかで、いかに顧客の要望に応えられるかは、臨機応変な対応力が問われます。

臨機応変な対応力を持っていれば、トラブルが発生した際にもダメージを最小限に押さえられるでしょう。トラブルの対応の仕方によって、顧客から信頼をより得られるかどうかが決まる場合もあります。状況に応じて業務の優先順位を柔軟に変更し、最優先課題に対応することが必要です。

5.課題発見⼒

課題発見力とは、顧客の抱えている課題を察知して明確化する能力です。顧客の課題とは、顧客自身が感じている直接的な「悩み」や「問題」ではありません。顧客の考えている理想と現実とのギャップを生み出している原因が課題であり、それを見つけ出す能力が課題発見力です。

顧客が持つ漠然とした悩みを聞きだして課題を具体化・細分化し、さらにその課題を顧客と共有することが必要です。課題を発見するためには、コミュニケーション力やヒアリング力も求められ、課題発見力によって商談の道筋が明確になります。
例え発見した課題が不正解だとしても、自力で課題を発見できたという事実が課題発見力の向上へとつながるでしょう。

6.行動⼒

行動力は営業活動のスキルアップにつながる能力です。行動力とは、顧客の課題を解消することのみならず、新規の顧客を開拓したり顧客との関係性を深めたりすることも含まれます。

行動力を向上させるためには、行動量を増やしましょう。効率的に業務を行って、行動する時間を確保するように心がけると良いでしょう。

7.ストレスマネジメント力

営業活動は、結果が売り上げという明確な数字で求められるため、会社や上司、同僚からのプレッシャーを少なからず感じるでしょう。また、トラブルが起きれば顧客から叱咤されることもあり、ストレスを感じやすい職種といえます。

ストレスマネジメント力とは、ストレスを我慢することではなく、ストレスがかかりそうな状況を事前に察知して回避する、ストレスがかかったら気分転換を図るなど、ストレスを管理・コントロールする能力です。営業活動を継続するうえでは、ストレスマネジメント力がきわめて重要といえるでしょう。

8.時間管理能力

営業担当者にとって時間管理能力が重要であるのは、自己判断を求められる場面が多いからです。アポイントメントの獲得、交渉、契約など、その場で判断することが数多くあります。また、営業担当者の仕事は営業活動のほかに事務作業もあり、働く場所も複数になるため、自らの業務と時間をコントロールするスキルが必要です。タイムマネジメントのスキルアップは、営業担当者にとって不可欠といえるでしょう。

9.論理的思考⼒

顧客の課題を解決するうえで、営業担当者の提案が説得力を持つためには、論理的思考力が必要です。論理的思考力はロジカルシンキングという言葉でも表されており、問題解決の際に必要な能力とされています。

顧客との交渉で想定外の問題が生じた場合にも、論理的思考力を備えていれば、的確に対応できる可能性が高くなるでしょう。日頃から論理的思考力を意識して考える習慣をつけることが重要です。

10.マーケティング能⼒

マーケティング能力は、営業職にとっても身につけておきたい能力のひとつといえるでしょう。マーケティングで使われているフレームワークを活用することで、自社商品の強みや弱みを客観的に分析でき、自社商品やサービスを効果的にアピールできるからです。

また、マーケティングスキルを身につけておくと、展示会やセミナーをよりスムーズに活用できるようになり、顧客の新規開拓の方法が増えます。効率的・効果的な営業活動を行ううえで、マーケティング能力を磨くメリットは大きいといえるでしょう。

11.クロージング能⼒

クロージング能力とは契約を結ぶ段階で必要なスキルであり、顧客の検討フェーズを契約締結へと進める能力です。契約の最終段階で顧客が迷うケースは少なくありません。顧客が感じている疑問や不安を解消して、契約するメリットを納得してもらい、最終的に契約を決断してもらうためには、コミュニケーション能力や論理的思考力が必要です。

つまり、クロージング能力とは、コミュニケーション能力や交渉力、論理的思考力など、複数のスキルを兼ね備えた総合的な能力といえます。クロージング能力は、商談の最終段階である契約をスムーズに進行するために欠かせません。

12.人脈構築⼒

営業担当者にとって人脈構築力は、顧客を開拓する際の大きな武器になります。人とのつながりが新たなビジネスチャンスを生む可能性が高いからです。自社の商品やサービスとの関連性のある人脈はもちろんですが、幅広い人脈を構築しておくと、異なる業種の人間から新規顧客開拓のきっかけをもらえるなど、予期せぬ広がりを見せる場合もあるでしょう。

営業担当者にとって人脈とは資産のようなものです。人脈構築力を磨くとは、セミナーや交流会に参加するなどして出会いの機会を増やし、出会いを大切にして、人脈を広げる努力をすることといえるでしょう。

スキルを⾝につける⽅法

営業活動には数多くのスキルが求められるため、チームの営業力を短期間で強化するためには、効果的なスキルアップ方法を見つけて実践していく必要があるでしょう。

営業担当者のスキルアップの方法は大きく2つに分けられます。まず、営業活動の中でスキルを磨くこと、そして営業活動外で身につけることです。この2つのやり方をさらに細かな項目に分けて説明します。

営業活動の中で行う

営業活動の中でスキルアップを行うのは、育成の基本手法です。営業活動の現場で経験を積みながら、必要なスキルを身につけていけることが数多くあるからです。しかし、漫然と経験を積むだけでは効果的ではありません。

営業担当者に実務の中で以下の4つのような意識すべきポイントや行うべきこと、マインドを普段から意識させることで、効率的なスキルの向上が期待できます。

● 商談の体験数を増やす
● 商談を振り返る
● 失敗も糧にして進めていく
● 先輩や上司を観察し真似る

商談の体験数を増やす

営業担当者のスキルを身につけるためには、商談の経験数を増やすことが有効でしょう。「提案する」「相手の要望を聞く」といったスキルは、実際の現場で体験することによって磨かれるからです。

しかし、営業担当者が商談の数を増やすのには限界があります。先輩や上司の商談に同席させる、営業活動のシーンを想定したロールプレイングを行うなどの工夫をすると良いでしょう。逆に商談を受けてみることも有効なスキルアップの方法といえます。顧客側の視点に立つことで、自分に足りないところや改善点が見えやすくなるからです。経験値を重ねることで営業スキルを身につけられます。

商談を振り返る

商談の体験数を増やすとともに重要なのが、商談の振り返りです。話し方、進行の仕方、顧客の言葉に対する反応の仕方などの確認するポイントを決めて、振り返ることにより、改善ポイントが明確になります。良かった点、悪かった点など、振り返る癖をつけるよう指示すると良いでしょう。

また、商談を録音し、商談でのやり取りを確認する方法もあります。近年ではWeb商談も増えてきました。オンラインでのやり取りのデータを保存しておけば、振り返りがより容易になります。営業担当者の自己分析だけでなく、先輩や上司からアドバイスをもらうようにしましょう。

失敗も糧にして進めていく

営業スキルを向上させるためには、失敗も糧にする姿勢が重要です。失敗を糧にするとは、失敗の要因を考えること、失敗しないための改善策を調べ実践すること、上司や先輩にアドバイスしてもらうことなど、失敗を成長の機会としてとらえる姿勢を意味します。良かった点よりも悪かった点の方が、改善ポイントがわかりやすい面があるといえるでしょう。失敗をしたときには気分転換も必要ですが、今後の糧とする意識を持つことが大切です。

どれだけ優秀な営業担当者も、失敗という経験を積み重ねて成長してきています。失敗をただ悔やむのではなく、学びへと昇華する姿勢を持つことがスキルアップへの近道です。

先輩や上司を観察し真似る

先輩や上司の営業手法を観察して真似ることもスキルアップにつながります。商品説明の流れ・言葉の使い方・重点的に説明している部分・顧客への質問内容・回答の仕方など、自分との違いを観察し、見習うべき点を積極的に取り入れることで、営業担当者の成長や業務改善につなげられるでしょう。

営業活動の実際の現場に同席できなくても、録音データやオンライン営業の映像で勉強すれば、先輩や上司の営業手法を学べます。直接、先輩や上司からスキルアップのためのアドバイスをもらうことも有効です。

営業活動外で行う

営業担当者のスキルアップは、営業活動外でも行えます。営業活動の実践でスキルを磨くことと上手く組み合わせると、より効果的で効率的な成長が見込めるでしょう。

営業活動外でのおもなスキルアップの方法は以下の3つです。

● 日頃から業界の情報収集を行う
● 商談事例やノウハウをインプットする
● 外部研修を受ける

日頃から業界の情報収集を行う

営業担当者のスキルアップのためには、日頃から自社や競合他社の業界情報だけでなく、顧客の情報収集も行うことが必要です。業界のトレンドは常に変化しており、テクノロジーの進化によって、これまでにはなかった商品やサービスが日々登場しているからです。顧客の業界の変化や顧客の会社の方針の変更により、顧客が営業担当者に求めるものも変化しています。

そうした変化に柔軟に対応し、顧客から頼られる存在であるためにも情報収集は不可欠です。常に知識を更新するように心がけましょう。企業のHPやそこにある沿革やIR、採用情報を確認するのはもちろんのこと、Twitterのトピック機能やGoogleのアラート機能などを活用して情報収集するのもおすすめです。

事例やノウハウをインプットする

事例やノウハウなどの社内ナレッジを商談の前にインプットしておくことは、商談をスムーズに進めるうえで有効です。商談に入る前に把握しておくべき事例は、活用事例と商談事例の2種類あります。

商談事例とは、顧客にアピールする予定のサービス・商品での過去の商談の具体例です。各営業担当者の持っている商談の経験やノウハウを社内で共有できれば、実践的でリアルな営業手法を知れるため、商談の成功率アップが期待できるでしょう。

活用事例とは、サービス・商品を利用している顧客が、もともと抱えていた課題を、サービスや商品を使ってどうやって解決したのか、その結果どんなメリットがあったのかの具体例です。似た課題を抱えている顧客に活用事例を紹介することで、課題解決のヒントになり、商品の購入の可能性も大きくなるでしょう。

営業活動の現場では顧客と1対1で接する機会が多くなりますが、営業力とはチーム力の結集でもあります。営業チームの持っている知識や技術を有効に活用することによって、個々の営業担当者のスキルアップ、ひいてはチーム力の向上も期待できるでしょう。

社内に点在するナレッジやノウハウの集約機能を実装したITツールやサービスも、存在します。目的に応じて効果的に活用するといいでしょう。

外部研修を受ける

外部の企業が主催する研修を受けると、効果的なスキルアップを図れます。営業研修やセミナーによって、専門家から新たな営業手法や知識を学べるからです。講師とのやり取りだけでなく、他企業の受講者から刺激を受けることもあるでしょう。

さらに自社以外の営業手法の勉強にもなります。営業担当者のスキルアップのための研修は数多く開催されているため、目的やレベルにあったものを選ぶと良いでしょう。

スキルアップの前準備としてスキルを可視化することが重要

スキルアップの準備として、まずはスキルを可視化しましょう。営業担当者のスキルやレベルを把握しておくと、改善や補うべき点が明確になり、それぞれの担当者に適したスキルアップの道筋を立てられます。

スキルの可視化にあたっては、営業担当者の長所と短所を正確に把握することが必要といえます。長所は伸ばし短所は今回紹介した手段で改善したり、補っていくと、効果的なスキルアップが望めます。

また、営業担当者のスキルやレベルの把握には、インプットだけではなくアウトプットできるかを確認する必要もあります。判断基準はあらかじめ定めておき、それを元に新たなステップに進むか、もう少し今のスキルアップのトレーニングを続けるか判断すると良いでしょう。

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営業担当者のスキルアップを実現するためには、担当者個々の現在の能力を可視化し、強化すべきポイントや改善すべきポイントを明確にする必要がありますが、それは容易なことではありません。

個々の現状を把握して、それぞれに適したスキルアップの方法を実施するには、かなりの労力や時間が必要です。日々の営業活動の中で着実にフィードバックして、努力を積み重ねていかなければなりません。

営業活動以外でのスキルアップも必要になるでしょう。『shouin for セールス』なら、営業担当者のスキルの可視化からスキルアップまで効率的に実現できます。さらに、定点でスキルを評価することでスキルアップの取り組みが成功しているのか否かの判断も容易です。

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