2023.06.02 営業Tips

営業ロープレ(ロールプレイング)とは?手順と効果的に行う7つのポイント

営業ロープレ(ロールプレイング)は、実際の営業活動を想定して行う学習方法の一種です。メリットの多い学習手法として注目されていますが、適切に運用する必要があります。営業ロープレの具体的な手順、効果的に行う7つのポイントを解説します。

営業ロープレ(ロールプレイング)とは

営業ロープレとは「営業ロールプレイング」の略語で、現場でのケースを想定して進めていく実践的な営業研修の手法の1つです。ロールには「役割」、プレイには「演じる」という意味があるように、新人と教育係とでそれぞれの役を振り分け、営業の現場でのケースを想定して、営業活動を再現して進めていきます。

営業の現場でのケースを想定して疑似体験することによって、様々な状況に適切に対応できる能力を身につける学習方法です。通常は新人が営業役、教育係が顧客役を務めますが、立場を入れ替える場合もあります。

営業ロープレを行う目的

営業ロープレの目的は、顧客とのコミュニケーションの質を向上し、現場での対応力を高めることです。具体的な目的としては、営業の流れを理解することとフレームワークを習得することの2つがあげられるでしょう。

営業の流れを理解することによって、営業トークをスムーズに展開できる効果も期待できます。また、フレームワークを習得することで、余裕を持った営業活動が可能になるでしょう。
フレームワークの例としては、SPIN話法があります。「状況質問」「問題質問」「示唆質問」「解決質問」という4種類の質問を順にすることによって、顧客の潜在ニーズを引き出すトーク技術です。

活用できるシーン

営業ロープレを行う場合には、営業活動のシーンを具体的に設定することをおすすめします。例として、活用できるシーンは以下の4つです。

TELアポ

顧客と初めて接触する場合には、TELアポが重要な行動です。電話での会話、トークスクリプトの作成など、営業活動に必須のスキルが必要とされます。

会社紹介

顧客の会社に初めて訪問した際には、トーク序盤で自社の紹介を行うのが一般的な流れです。パンフレットやスライドを使った会社紹介などもロープレに組み込むといいでしょう。

ヒアリング

ヒアリングは、顕在化されていない顧客のニーズを引き出す重要な機会です。ヒアリングのスキルは、相手とのやり取りの中で身につけるのが一般的ですが、ロープレの活用によって、一定の効果が見込めます。

クロージング

営業活動において、価格交渉や納期調整など、最終的に顧客の決定までを流れを具体的にイメージしておくことは欠かせません。契約をまとめる商談の最終段階のロープレとして何度も行うことで、実際の商談でも活用できるようになるでしょう。

営業ロープレの種類

営業ロープレは、実現したい目的、ケースの想定の仕方、実施形態などによって、いくつかの種類に分けられます。教育担当者の目的や、研修される新人の抱えている課題によって、使い分けるといいでしょう。主な営業ロープレは、以下の4つです。

● ケース型ロールプレイング
● グループロールプレイング
● 問題解決型ロールプレイング
● モデリング型ロールプレイング

ケース型ロールプレイング

シチュエーションを細かく想定したロープレのことを指します。顧客の業種や役職などの属性を設定する他、営業する自社の製品やサービス、課題などを設定したうえで、具体的なやりとりの中で対応の仕方を学習するところが特徴といえるでしょう。

実際の営業活動に近い経験を積め、教育担当者からのフィードバックにより、問題点も認識できます。

グループロールプレイング

グループを組んで、そのメンバー内で設定した役割を交換しながら行うロープレです。営業の仕事は相手に立場に立って考えることが不可欠であるため、営業担当と顧客その双方の役割を担うことによって、得られることが多くあるといえるでしょう。

営業担当者の視点だけでなく、顧客視点を持てるという意味でも、意義のあるロープレです。

問題解決型ロールプレイング

「問題解決型」という名前の通り、実際の営業の現場で起こっている課題を解消することを目的としたロープレです。過去に起こった問題を取り上げるケースもありますし、今現在、直面している課題を取り上げるケースもあります。

過去の問題の解決を目指す場合には、実際に実行された解決方法とは違う道筋を選ぶケースも出てくるでしょう。問題への対処法や対応の仕方を身につけられる実践的なロープレです。

モデリング型ロールプレイング

モデリングとは、その対象となった相手のやり方を模倣するロープレです。好成績を上げている営業担当者やスキルの高い先輩社員など、見本となる社員の真似をすることによって、営業の基本やスキルを身につけられます。

実在する人間をモデルとすることによって、具体的な行動や発言をイメージしやすい、成功のノウハウを共有できるなど、様々なプラスの効果が期待できるでしょう。

営業ロープレを行うメリット

営業スキルは実践で磨くのが鉄則ですが、実践に出る準備が整っていない段階での研修として、営業ロープレには数多くのメリットがあるといえるでしょう。主なメリットは以下の5つです。

● 営業活動に慣れることができる
● 商品やサービスの理解を深められる
● 課題を把握できる
● 入念な準備により営業活動の精度を高められる
● 営業スキルの向上につながる

営業活動に慣れることができる

新入社員や他部署から営業に配属された新人は、当然のことながら、営業活動の経験がありません。営業の知識を頭で学ぶだけでは限界があるでしょう。経験のなさを補い、営業活動を疑似体験できることが、営業ロープレの大きなメリットです。

ロープレによって、営業活動の基本を覚えられるだけでなく、対話力や対応力も磨けるでしょう。事前に様々な状況を想定して、ロープレを経験しておくことによって、営業活動に慣れることで自信がつき、落ち着いて実際の商談に臨めます。

商品やサービスの理解を深められる

ロープレとして実際の顧客への営業プレゼンをイメージしたトレーニングを行うと、自身では理解しきれていなかった自社の商品やサービスが浮き彫りになり、再度学習することによって理解を深められます。顧客からの想定される質問に適切に回答するためには、特徴やおすすめポイントはだけでなく、注意点なども把握しておかなければなりません。

事前にロープレを行うことによって、全体のトークの流れも整理できるでしょう。

課題を把握できる

営業活動のどの部分に課題があるのかを、自分だけで把握するのは簡単ではありません。特に新入社員や他部署から配属されてきた新人は、経験が不足しており、比較する対象がないため、課題や改善ポイントがわからないケースもあるでしょう。

営業ロープレを行うと、顧客役の教育担当者からのフィードバックや、ロープレを見た第三者からのアドバイスを受け取れ、自身の現状の課題を把握できます。

入念な準備により営業活動の精度を高められる

営業ロープレをすることによって、営業役は想定外の質問をされる場合も出てくるでしょう。その質問に対応できなかった場合、準備不足が明白になります。

ロープレを行うことによって、準備ができているかどうかの確認ができるため、実際の営業活動を行う前に、入念な準備ができるでしょう。その結果、営業活動の精度を高めることが期待できます。

営業スキルの向上につながる

営業ロープレは、実際の商談を想定したものであるため、顧客の質問への受け答えの仕方など、実践的な技術を身につけられるでしょう。また、フィードバックによって、改善すべき点も明確になります。

座学では身につけられないテクニックを磨けて、営業スキルの向上につながります。

営業ロープレを進める際の手順

営業ロープレはメリットの多い研修方法ですが、適切なやり方で進めなければ、効果があまり見込めません。営業役と顧客役、それぞれがロープレの手順を理解して、それぞれの立場で準備しておくことが求められるでしょう。
主な手順は以下の3つにまとめられます。

1.詳細設定を行う
2.事前リサーチや準備を行う
3..営業ロープレを実施しフィードバックをする

1.詳細な設定を決める

教育担当者は、ロープレの詳細な設定を決める必要があります。どのようなシチュエーションなのか、顧客はどのような企業のどの部署・役職なのかなど、細かく設定します。実際の商談に望む際に得ている情報と同等の情報が設定できると望ましいです。実際の商談やコミュニケーションの時間に合わせて、ロープレの所要時間も設定しましょう。

次に営業担当役と顧客役を決めます。教育担当者が顧客を演じ、研修を受ける側が営業役を行うのが一般的です。目的に応じて役を入れ替えることもあります。

2.事前リサーチや準備を行う

営業役は実際の商談を行う場合と同じように、事前リサーチや準備を行います。設定した顧客の企業について、所属する業界や会社規模、顧客が抱えている課題や、自社との商談状況など、事前の情報収集も必要です。また、自社商品やサービスについての理解を深める、資料を作成するなどの準備も必要でしょう。

顧客役にどのような提案をするのか、どのような流れで商談を進めるのか、実際の営業活動をイメージしながら準備を進めます。

3.営業ロープレを実施しフィードバックをする

教育担当者は、営業ロープレを実施した後にフィードバックを行います。確認すべき項目はトークの流れ、言葉の使い方、表情や仕草、自社商品への理解度など、フィードバックすべき項目は多岐にわたるため、事前にチェックリストを用意しておくと、漏れのないアドバイスができるでしょう。さらに今後もロープレを実施する際に、定点で評価できるので営業担当の成長も確認できます。
改善点を伝えるのと併せて良かった点も必ずフィードバックしましょう。

研修を受けた人は、フィードバックの内容を正確に理解して、課題の解消・改善につなげることが求められます。

営業ロープレを効果的に行う7つのポイント

営業ロープレを効果的に行うためには、教育担当者側と研修を受ける側それぞれに留意しなければならないポイントがあります。おもなポイントは次の7つです。

・ゴールを明確にする
・トークスクリプトを作成する
・様々なパターンを想定する
・短い時間で繰り返し進める
・オブザーバー役を入れる
・動画を撮影する
・指摘は都度おこなう

ゴールを明確にする

教育担当者がゴールを明確にし、研修を受ける側とゴールを共有する必要があります。研修側が明確な目的意識を持つことで、ロープレがより効果的になると、期待できるからです。

最終的なゴールは営業スキルの向上ですが、設定されたロープレごとのゴールは異なるでしょう。TELアポならば、アポイントメントを取ること、ヒアリングならば、顧客のニーズや悩みごとを引き出すことなどです。また、営業ロープレの種類によって、設定されるゴールも変わってくるため、確認のためにもゴールの明確化が求められます。

トークスクリプトを作成する

トークスクリプトとは、営業活動におけるマニュアル台本のようなもので、顧客への話の進め方やトークの内容などが書かれたものです。研修を受ける側は、事前にトークスクリプトを作成することで、おおよその営業の流れを把握できるでしょう。

トークスクリプトには、トップセールスのトークを真似て盛り込めば実践的なロープレを行えます。ただし、ただ読めばいいわけではなく、なぜその質問をするのか、どのようにしてその流れで進めるのかなど、事前に理解しておくことが大切です。

様々なパターンを想定する

営業ロープレの運用で教育担当者に求められるのは、常に同じ設定ではなく様々な設定を用意しておくことです。実際の営業の現場では、一定の状況下で話を進めることばかりではないため、自社で想定できる具体的な設定を複数用意しておくことが必要とされます。研修受講者の今後の顧客対応力やトークの引き出しの数を増やすためには、

過去にあった事例を参考として、いろいろなパターンを設定することで、ルーティーン化の防止にも繋がるでしょう。

短い時間で繰り返し進める

ロープレを効果的なものにするコツは、短時間で繰り返し行うことです。短時間にすることによって、研修を受ける側の集中力を持続させられます。また、反復することにより、スキルの着実な習得が期待できるでしょう。

ロープレの種類や目的によっても異なりますが、おおよその目安は、30分程度を週3~4回くらいです。実際の商談は1時間程度が一般的ですが、ロープレではプロセスを細かく分解して行うといいでしょう。営業ロープレは定期的に実施して、習慣化することが重要です。

オブザーバー役を入れる

ロープレを行う場合には、営業役と顧客役のほかに、オブザーバー役を入れて3人体制でのぞむことで、より正確なフィードバックができるようになります。2人体制では、教育担当者が顧客の役割に集中する必要もあり、俯瞰するのが難しいケースも出てくるからです。

オブザーバー役は客観的な視線で判断できます。顧客役の視点だけでは気づけない改善点や課題を発見できるでしょう。

動画を撮影する

スマホやパソコンを使って動画で撮影しておくことで、研修を受ける側は自分の営業活動の客観的な振り返りを行えます。教育担当やオブザーバーからのフィードバックと合わせて、撮影した動画を見ることで、指摘されたことへの納得感も増すでしょう。

トークの内容だけでなく、表情、仕草、話すスピードなど、様々な角度から検証できます。
営業活動を行っている本人だからこそ、気づける点もあるため、動画の撮影は有効です。

指摘は都度おこなう

気になったことや改善すべき点は、都度ロープレを止めて伝えるようにしましょう。ついついロープレを一通り終わらせることを優先しがちですが、指摘された側はその内容に心当たりがなく、ピンとこないことも少なくありません。その状況で指摘されても、改善策を考え実行することが難しく、結果としてロープレで望める効果が減ってしまいます。より成長速度をあげるのであれば、気づいたタイミングで都度指摘することをお勧めします。

営業を成功させるためにはロールプレイングが重要!

新入社員や新たに配属されてきた社員の営業スキル向上のために、営業ロープレは有効な研修方法といえるでしょう。営業のスキルを磨く際には、経験が重要なファクターとされますが、営業ロープレで経験不足を補えると期待できるからです。

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