2021.08.31 営業Tips

商談上手は“聞き上手”!ヒアリングのコツと、よくある悩みの解決方法

営業活動において、ヒアリングは商談の成果を左右するため重要視されていますが、相手や状況によって適切な聞き方が変わってしまう難しさもあり、なかなかコツが掴みにくいというのも事実です。
この記事では、ヒアリング力を上げたい担当者に向けて、営業時のヒアリングのコツと、よくある悩みの解決方法をお伝えします。

営業ヒアリングの重要性

営業においてヒアリングが重要な理由には、ヒアリングは提案の土台となる情報収集の段階であること、収集した情報の内容が提案の精度を左右することにあります。

営業における「ヒアリング」とは?

営業フローは大まかに分けて4つの段階があり、ヒアリングはその中でも初めのタイミングで取り組むものとなります。

  1. ヒアリング(初回アポ含む)
  2. 提案
  3. クロージング
  4. 契約(発注)


ヒアリングで得た情報をもとに、その後の提案・提案に対する顧客の反応を受け、クロージング・契約と営業フローは進みます。
つまり、ヒアリングはその後の提案のベースとなる情報を集めるフェーズですので、この段階で顧客の心を掴み、出来るだけ多くの深い情報を得ることが重要となります。

なぜヒアリングは重要?

このように、ヒアリングが重要な理由は、営業のゴールである「発注」に向けた提案内容の精査に向けた情報集めであるためです。

ヒアリングで十分な情報を得られないということは、相手を「知らない」ことと同義です。相手のことを知らなければ、相手が欲しがるものが分からないので、顧客に刺さる提案や発注への動機付けができません。刺さる提案ができなければ受注につながらず、営業目標の達成に近づくことは難しくなります。

ヒアリングの段階でいかに密度の高いコミュニケーションを取り、顧客の課題抽出ができるかが、その後の提案やクロージングの結果を左右します。

ヒアリングの流れ

ヒアリングを行う際には、事前準備を行うところからスタートし、実際にコミュニケーションを取り、必要な情報収集と課題抽出までつなげていきます。

事前準備

事前準備の段階では、以下の3点をベースに、時間が許す限り顧客や業界に関する調査と材料の準備をしておきます。

  1. ヒアリングシートの用意
  2. 顧客のことを調査する
  3. 顧客の業界・競合のことを調査する


ヒアリングシートは営業組織によっても、担当者ごとでも異なるでしょう。テキストベースの場合もあれば、表を埋めていく形のシートもあります。自身に合うものや、実際に成果を出している担当者のヒアリングシートを使い、質問のクオリティ向上、聞き漏れ防止や備忘録として活用しましょう。

調査については、顧客の企業情報はもちろんのこと、顧客が身を置く業界、顧客がメインターゲットとする業界のことをインターネットやSNS、可能であれば書籍にて調べてみます。
エンドユーザが存在する場合は、そのユーザが興味を持ちそうなことも調査しておきましょう。ユーザのニーズを理解できれば、より本質を捉えた提案をしやすくなります。

アイスブレイク

ヒアリングは相手にいかに話してもらえるかがカギとなりますので、お互いにリラックスして会話を進めるためにもアイスブレイクが欠かせません。
アイスブレイクの具体的なやり方については以下の記事で解説しているので、コツを知りたい方は参考にしてみてください。

課題の抽出

ヒアリングは質問をするだけの場ではなく、相手の話す内容をもとに、相手が抱える課題を具体化するための場でもあります。
聞いて終わり、質問して終わりではなく、顧客が話している内容を「それはつまり●●ということですか?」と、自分と相手の認識に相違がないかを逐一擦り合わせておきましょう。

効果的なヒアリングのコツ

ヒアリングの質を高めるためには、相手にとって有益な情報を提供すること、相手が答えやすいように質問の仕方を工夫することがポイントです。

相手が興味を持ちそうな情報を提供する

ヒアリング時は、まだ関係構築が出来ていないことも多いでしょう。
顧客のクライアントや顧客自身の業界トレンドや、顧客が携わる業種・業態における成功事例などを提供することで信頼獲得につながりますし、相手の反応によって考えていることを知るきっかけにもなります。

現在→過去→未来の流れで話す/進める

ヒアリングをする際に意識したいのは、まず、現状把握についてから聞いてみることです。
時系列としては、下記のように現在から過去にさかのぼり、最後に未来に視点を持っていくのが好ましいです。

  1. 現在:今取り組んでいる施策、その進捗・成果、課題感
  2. 過去:やった施策、その結果、なぜ行ったのか
  3. 未来:目標(定性と定量)、KPI・最終目標


現在から触れていく意図としては、いきなり過去だとパッと思いつきにくい可能性が高いためです。まずは現状把握をした上で、過去に遡っていく形でヒアリングを進めましょう。
また、未来が最後である理由は、過去が分からないと未来に何をすべきか考えにくいためです。
顧客は過去にどのような経験をし、どんな思いがあり今に至っているのか。その上で未来はどうしていきたいのか質問していきます。

仮説を立てながら質問する

「例えば~の場合、~ですか?」のように仮説立てて質問すると相手がイメージしやすく答えやすいです。

例:予算のことを聞きたい場合
「例えば、競合他社で同規模の企業様の場合、こういったサービスへの予算としては、平均で〇〇円ほど確保されていることが多いのですが、御社もこのような費用感でお考えですか?」

上記のように仮説立てて質問すると、相手は頭の中でイメージをしながら答え方を考えられます。また、自ずとクローズドクエスチョン(「はい/いいえ」や限られた選択肢の中から回答できる質問方法のこと)になってくるので、相手は回答しやすくヒアリングがスムーズに進みやすいです。

ヒアリングでよくある悩みと解決方法

ヒアリングをする上でよくある悩みには、以下の3つが挙げられます。

  • ・聞き漏れがある
  • ・商談をスムーズに進行できない
  • ・課題抽出が難しい


上記それぞれの原因と解決策をお伝えします。

聞き漏れがある

提案に失敗してしまう担当者や、受注後の継続や追加発注が少ない担当者は、往々にして顧客に関する情報収集不足です。
ヒアリング時に聞き漏れや伝え漏れがあると、晴れて受注できたとしても、顧客と自社の認識に相違があり、のちに契約や金銭関連の大きなトラブルにつながることもあります。

そのようにならないためには、フレームワークを活用したヒアリングがおすすめです。

聞き漏れ予防に便利なフレームワーク

予め要点を抑えて話が進められるフレームワークですが、ヒアリングの際には以下2つのフレームワークがおすすめです。

●BANT
BANTは、予算・決裁権・必要性・導入時期の4点を確認するためのフレームワークです。どれも営業提案時には必ず押さえておくべきポイントですので、致命的な確認漏れを防ぐ観点で取り入れるといいでしょう。
BANTについては以下で解説しています。

●SPIN
SPINは、状況質問、問題質問、示唆質問、解決質問の4種類の質問を用いてヒアリングを進める話法です。相手の潜在ニーズの顕在化を促し、ヒアリングをしながら商談への温度感も高められるメリットがあります。
SPINについて詳しくは、以下の記事で解説しています。

商談をスムーズに進行できない

商談をスムーズに進行出来ない原因には、以下が挙げられます。

  • ・流れを頭の中でイメージできていない
  • ・資料に抜け漏れがある
  • ・双方向のコミュニケーションが取れていない
  • ・そもそも場数が少ない・経験が浅い


これらの対策としては、頭の中で商談全体の流れを予め組み立てておくと進行イメージが明確になります。トークスクリプトを作成することで、商談の段取りができスムーズな進行をしやすいでしょう。
トークスクリプトの作り方は、以下の記事で紹介しています。

また、顧客に見せる資料に商談全体の段取りを反映しておくと、その場で伝え漏れ無くスムーズな進行が可能です。
資料作成については、こちらの記事で解説しているので参考にしてみてください。

課題抽出が難しい

課題抽出が難しい場合の原因としては、以下が考えられます。

  • ・コミュニケーションがうまく取れていない
  • ・顧客や自社商材への理解が足りていない
  • ・相手の発言の意図を汲み取れていない


上記は、個人的に勉強を重ねるだけでなく、現場での経験値を積み上げることで解決に向かえます。場数を踏むという意味合では、上司や先輩、同僚などとロープレを行いフィードバックをもらうのも有効でしょう。効果的なロープレの実施方法については、こちらで解説しています。

まとめ

ヒアリング力を上げるためには、現場での回数を重ね経験を積むことが一番かもしれません。とはいえ、有益な経験を積むためにも基礎的なテクニックやポイントはしっかりと押さえておきたいところです。今回ピックアップしたノウハウやフレームワークは、基本的な確認事項を網羅でき、ヒアリングの質を高められるので、ぜひ明日からの営業活動に取り入れてみてください。

ヒアリングが上手くいったら、営業の最終段階であるクロージングに入っていきます。
クロージングのコツについては、下記記事で解説しているので合わせて参考にしてみてください。