2021.09.28 営業Tips

営業フレームワークを活用シーン別に紹介!営業への役立て方と注意点

営業スキルを効率的に伸ばすためには、自己流や自組織のノウハウ以外にも、さまざまな考え方や成功例を参考にしてブラッシュアップしていくことが大切です。

フレームワークは、営業だけでなく、マーケティングをはじめとしたビジネス全体で活用できる枠組みです。今まで属人的に判断していた業務を体系化したり、フレームワークに沿ってヒアリングすることで顧客情報の精査を確実かつ効率的にしたりと、営業活動の平準化と生産性アップが可能です。

この記事では、営業成果や生産性を向上させたい担当者や、フレームワークへの理解を深めたい方に向けて、営業に使えるフレームワークを紹介します。

フレームワークはどう営業に活かせる?

フレームワークは基本的に営業活動に限らずさまざまなシーンで活用できるものですが、営業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

フレームワークとは

フレームワーク(framework)は、骨組みや枠組み、構成などと訳される英単語で、ビジネスの場面では主に概念や考え方を体系化するための枠組みや、プログラムなどのひな形を表します。
ここで扱うフレームワークは前者の「枠組み」の方に該当し、具体的には業務改善や問題解決などに役立つ分析手法やテンプレートのことを指します。

営業において重要な理由

営業活動の中でもとくにBtoBの場合には、確認すべき点が非常に多く、ビジネス的観点からはもちろん人間的な視点でも顧客を見なければなりません。
例えば、顧客の性格や好み、どのようなアプローチだと刺さりやすいかといった感覚的な判断は人間だからこそできることです。

フレームワークは予めテンプレートとして定まっているため、ある程度システム的に情報を精査できます。効率的に顧客情報を整理できれば、集めた情報をもとに分析する仕事や顧客との関係性構築といった、より重要な作業に集中することができます。

抜け漏れを防ぐ

ヒアリングにフレームワークを活用すれば、聞き漏れを防ぐことができます。
例えば、BANTというフレームワークでは、以下の4つの項目をベースとし情報を整理していきます。

  1. Budget(予算)
  2. Authority(決裁権)
  3. Needs(必要性)
  4. Timeframe(導入時期)


どれも営業提案には欠かせない顧客情報なので、ヒアリングシートに上記の4つを入れることで、確認漏れを防げるでしょう。

フレームワークを活用することで、重要でありながら属人的になりがちなヒアリング業務を平準化し、営業スキルの底上げを実現できるでしょう。

顧客分析にも活用可能

分析系のフレームワーク(「3C分析」「SWOT分析」など)を顧客に当てはめて考えることで、顧客が抱えている課題も発見しやすくなります。
例えば、マーケティングで多く活用される「3C分析」は、以下の3要素で成り立っています。

  1. Customer(市場、顧客)
  2. Competitor(競合他社)
  3. Company(自社)


顧客を「自社」に見立てて顧客の競合他社や市場を調べれば、顧客が抱く課題が見えてきます。問題は競合他社との差別化が出来ていないことかもしれませんし、そもそも市場全体が不景気だということもあるでしょう。

この分析方法を利用してある企業を見たときに、もし市場全体の売り上げ規模が伸びており、潜在的な顧客数が多く競合も少ないといった状況にもかかわらず売上が低迷しているのであれば、当該企業の商品力や営業力が足りないことになります。

反対に、市場が縮小していて競合他社の業績も下がっているのであれば、その企業が身を置く市場自体が斜陽となってしまっているため、会社全体の身の振り方を考える必要があるかもしれません。

このように第三者の課題の要因も探ることができるのは、フレームワーク活用の大きなメリットです。

営業で使えるフレームワーク

営業で活用できるフレームワークは、大きく分けて【1】ヒアリングに使えるもの、【2】分析に使えるもの、【3】情報整理に使えるものの3種類あります。ここではシーンごとにおすすめのフレームワークを紹介します。

ヒアリングに使えるフレームワーク

ヒアリングには、「BANT」と「SPIN」の2つがおすすめです。

BANT

BANTは先ほども取り上げたとおり、予算・決裁権・必要性・導入時期を押さえるためのフレームワークです。
BANTについては、以下の記事で詳しく解説しています。

SPIN話法

SPINは質問のフレームワークのことで、以下の4つの質問を順番に行う話法です。

  1. Situation(状況質問)
  2. Problem(問題質問)
  3. Implication(示唆質問)
  4. Need-Payoff(解決質問)


「顧客が抱える課題を明確化できない」
「顧客の潜在的なニーズをなかなか掘り起こせず困っている」
といった悩みを抱える担当者にはとくにおすすめのフレームワークです。詳しくは以下の記事で解説しています。

そもそもヒアリングに自信がないという方は、以下の記事でヒアリングのコツを紹介しているので参考にしてみてください。

営業戦略立てに使えるフレームワーク

顧客への提案内容を考えたいときには、「3C分析」「SWOT分析」「4P分析」や「VRIO」といった分析系のものを活用すると良いでしょう。

3C分析

3C分析は先ほど紹介したとおりで、自社に当てはめて考えることで競合他社と比較した強みや弱みを発見できるため、提案の仕方に課題を抱える担当者にはおすすめです。

3C分析については、以下の記事で詳しく紹介しています。

SWOT分析

SWOT分析は以下の4つの要素を分析することで戦略立てに生かせる、環境分析手法の1つです。

  1. Strengths(強み)
  2. Weaknesses(弱み)
  3. Opportunities(機会)
  4. Threats(脅威)


前述の3C分析を行いその企業の立ち位置を理解した後、内部要因(強みと弱み)・外部要因(機会と脅威)を把握することで具体的な戦略立案に生かすことができます。

SWOTについてはこちらの記事で詳しく掘り下げています。併せて参考にしてみてください。

4P分析

4P分析は、商品やサービス提供について検討したい際に便利なフレームワークです。商材の価格設定をしたいときや見直したいとき、販促や営業の戦略立てをしたいときに生かせる分析手法です。

  1. Product(商品)
  2. Price(価格)
  3. Place(流通=販売場所や提供方法)
  4. Promotion(販売促進)


営業アプローチをする際には、自社の商材への深い理解が必要不可欠です。どのような商材をどれくらいの価格で提供するのか、また、どのルートで提供し、販促はどうやって行うのかを検討します。

VRIO分析

企業分析に役立つVRIO分析は、その企業が持つリソースを分析できるフレームワークです。

  1. Value(経済的な価値)
  2. Rarity(希少性)
  3. Imitability(模倣困難性)
  4. Organization(組織)


やり方はシンプルで、これら4つそれぞれを持っているかを、上から順番にイエスかノーかで回答し、それぞれの回答によってその企業の競争優位性を測れるというものです。

例えば、経済価値はあるけれども、希少性はないということであれば、競争状態は均衡的になります。この場合は、競争力を高めるために希少性を上げる努力をすることで競争優位性を高められる、という判断ができます。

情報整理に使えるフレームワーク

情報の整理には「ロジックツリー」を活用すると便利です。

ロジックツリー

「論理の木」という意味を持つロジックツリーは、あるテーマや問題を構成する要素を分解していき、それぞれを細分化することで情報の整理をしたり、問題に対する解決策を紐解くためのフレームワークです。

例えば、「商談」というキーワードがあるとしたら、「非対面」と「対面」というように、その後に続く「非対面」に対しては「ビデオ通話」と「電話」に枝分かれさせるといった具合です。

例として要素分解するパターンを挙げましたが、「営業目標が達成できない」「新規顧客を増やしたい」といった課題に対し、考えられる原因を挙げていく原因追求型や、解決する方法を検討していく問題解決型としても活用可能です。

紙に書いてみても良いですし、今は多くの無料ツールでロジックツリーを作れます。
自分の中で情報を整理するときはもちろん、提案資料に入れれば文章で説明するよりも分かりやすく伝えられる場合もあるでしょう。

フレームワーク活用時の注意点

最後に、フレームワークを活用する際の注意点をお伝えします。

自社が抱える課題を知る

フレームワークは種類によって目的が違います。例えば、BANTはその顧客のある商材に関する検討状況を知るためのフレームワークである一方で、3C分析はマクロ視点でその企業が市場でどのような立ち位置にいるかを知る目的で利用されます。

そもそも自身が今現在抱えている課題によって、適したフレームワークは異なります。自社が優先的に取り組むべき課題は何か、それに対して必要な情報は何かを明確にしてからフレームワーク活用を始めましょう。

独りよがりな分析にならないようにする

自分自身の先入観・決めつけなどをベースに分析すると、偏りが出てしまうことがあるので注意しましょう。
出来るだけフラットな視点で傾向を捉えることを心がけ、一度出した分析結果を後日見直したり、同じ作業を別日に改めてやってみたりすると客観的な分析結果を出しやすいです。
また、分析をひとりではなく複数人で行うことで、より客観的な結果を出すことができるでしょう。

フレームワークはあくまで手段であることを認識する

フレームワークは便利なものではありますが、あくまでテクニックにすぎないので、習得に時間をかけたり、数多くの手法を同時に取り入れるのはおすすめできません。
フレームワークに振り回されてしまったり、分析だけして満足し行動に移さないなどは本末転倒なので、本質にある目的を見失わないように注意しましょう。

まとめ

フレームワークは、過去にその道の専門家が思慮に思慮を重ね作り上げた枠組みです。本来習得するまでには、時間・労力・経験が必要になりますが、それまでの長い道のりをスキップして、先駆者が残した恩恵を受け取れるものです。
フレームワークを取り入れることで、自分でゼロベースから考えることなく効果的な営業活動に繋げられるため、色々と試してみるといいでしょう。